民法では、「遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができない(民法975条)」として、 共同遺言を禁止しています。 したがって、夫婦連名で、 「夫○○が先に死んだ場合は、〜、 妻△△が先に死んだ場合は、〜」 といったような遺言は、無効となります。 民法が共同遺言を禁止する理由には、以下のことが考えられます。 |
1.遺言者の自由な意思が制約される 遺言は、遺言者の自由な意思に基づいてなされるべきものです。 しかし、共同遺言を行うことによって、遺言者の自由な意思が制約されてしまう 危険があります。 例えば、夫婦で共同して遺言書を作成するとなると、互いに遠慮して本当の気持ちが 書きづらくなることも考えられます。 ・特定の相続人に財産を多く与える ・子の認知 ・相続人以外への財産の遺贈 |
2.遺言の撤回が制約される 遺言者は、自由に遺言を撤回することができます。(民法1022条) しかし、共同遺言をした場合、遺言者の一人だけが撤回することができるのか、 もし撤回したとしても、元の遺言書の取扱いをどうするのかなどの問題が生じます。 また、共同遺言者の一方が遺言の撤回を希望しても、もう一方の反対で撤回ができない といった事態も考えられます。 |
3.遺言の効力としての問題 共同で遺言を作成した場合に、共同遺言者の一方の遺言が方式を満たしていないなどで 遺言が無効となった場合に、他方の遺言が有効なのかどうかが問題となる。 |
夫婦の仲が良いことは大変結構なことですが、遺言書を作成する場合には、 別々に作成するようにしましょう。 |